老犬・老猫の健康診断・尿検査の前に|自宅での採尿グッズと尿チェック用品の選び方
シニア期に入ると、動物病院で健康診断をすすめられる機会が増えてきます。そのときによく言われるのが「次回、おしっこを持ってきてください」という一言です。いざとなると、どうやって採ればいいのか、何に入れて持っていけばいいのか、迷ってしまう飼い主さんは少なくありません。
この記事では、私たち編集部が「犬の採尿グッズ」「猫の採尿グッズ」「自宅での尿チェック用品」の3つについて、選ぶときに確認したいポイントを整理しました。あわせて、採尿や採便のときに気をつけたいことも紹介します。
なぜシニア期は「おしっこ」を見ておきたいのか
尿の検査は、体に針を刺さずにできる検査のひとつで、腎臓や膀胱の状態、糖の有無などを知る手がかりになると言われています。シニア期は腎臓の働きや代謝が少しずつ変化しやすい時期とされており、症状がはっきり出る前の変化に気づくきっかけとして、定期的な尿検査をすすめる動物病院も多いようです。
ただ、尿の検査は「採り方」と「持っていくまでの時間」で結果が変わりやすいとされています。そのため、次の3つを事前に確認しておくと安心です。
- いつの尿がよいか: 朝一番の尿を指定されることもあれば、採ってから時間がたっていないものを求められることもあります
- どのくらいの量が必要か: 検査の内容によって必要な量が変わります
- 何に入れて、どう保管するか: 専用の容器を渡されることもあります。冷蔵してよいかどうかも病院によって考え方が異なります
いずれも、かかりつけの動物病院の指示を優先してください。この記事で紹介するグッズは、その指示どおりに採るための「道具」として考えるのがよいでしょう。
犬の採尿グッズの選び方
犬の場合は、おしっこをしている最中に、下から受け皿を差し入れて採る方法が一般的です。柄の付いた採尿用のトレーやカップが市販されています。
- 柄の長さが合っているか: 小型犬なら短めでも届きますが、中・大型犬や、近づくと動いてしまう子には、離れた位置から差し入れられる長めの柄が扱いやすいです
- 受け皿の形と大きさ: 浅くて幅の広いものは差し入れやすく、深めのものはこぼれにくいという違いがあります。オスとメスで差し入れる位置が変わるため、両方に使いやすい形かも確認しましょう
- 容器に移しやすいか: 注ぎ口が付いているもの、スポイトで吸い取りやすい形のものだと、採った後の移し替えがスムーズです
- 使い捨てか、洗って使うか: 検査に使う場合は、清潔な状態で採ることが大切です。繰り返し使うタイプは、毎回しっかり洗って乾かせるかを確認します
おしっこのタイミングに合わせて差し入れるのは、慣れるまで難しく感じることがあります。散歩中や、トイレシーツの上でするタイミングがわかっている子なら、何度か練習しておくと本番で慌てずに済みます。
猫の採尿グッズの選び方
猫は、おしっこの最中に近づかれるのを嫌がる子が多く、犬と同じ方法では採りにくいことがほとんどです。そのため、トイレの砂を一時的に入れ替えて、たまった尿を採る方法がよく使われます。
- 水を吸わない検査用の砂: 尿を吸い込まずに表面に残るタイプの砂が市販されています。いつものトイレの砂をこれに入れ替え、たまった尿をスポイトで吸い取ります
- システムトイレを使っている場合: 下段のシーツを外したり、裏返したりして、トレーに尿がたまるようにする方法もあります。この場合は、トレーを事前によく洗っておきましょう
- スポイトが付属しているか: 砂の表面やトレーから吸い取るためのスポイトが付いていると、そのまま採取に使えて便利です
- いつもの砂と感触が近いか: 砂の感触が変わると、トイレを使わずに我慢してしまう子もいます。粒の大きさや感触が、普段の砂と大きく違わないものを選ぶと受け入れられやすくなります
砂を入れ替えた日は、トイレを我慢していないか、ほかの場所でしていないかを気にかけてあげてください。
自宅での尿チェック用品の選び方
健康診断と健康診断の間に、おしっこの様子を自宅で気にかけておきたい場合は、ペット用の尿試験紙や、色の変化で尿の状態を見るシート・砂などが選択肢になります。
- 何を見られるか: pH(酸性・アルカリ性の傾向)、潜血、糖など、商品によってわかる項目が異なります。気になる項目に対応しているかを確認しましょう
- 使い方が無理なくできるか: 尿に直接浸すタイプ、トイレシーツや砂に敷いて色の変化を見るタイプがあります。犬はシーツ型、猫は砂やシート型が取り入れやすい傾向があります
- 判定がわかりやすいか: 色見本と見比べる方式が一般的です。自然光の下で見比べるなど、説明書の手順どおりに判定することが大切です
- 保管期限・保管方法: 試験紙は湿気や光で劣化しやすいとされています。使い切れる量かどうかも確認しておきましょう
ただし、自宅でのチェックはあくまで「いつもと違うかどうか」に気づくための目安です。結果が気になったときも、そうでないときも、自己判断で済ませずに、動物病院での検査につなげる使い方をおすすめします。
採尿・採便のときに気をつけたいこと
- 採ったら早めに持っていく: 尿は時間がたつと状態が変わりやすいと言われています。採取した時刻をメモしておき、指示された時間内に届けましょう
- 保管方法は病院の指示に従う: 冷蔵するかどうか、何時間以内かは病院ごとに考え方が異なります。迷ったら事前に電話で確認しておくと安心です
- 便はひと口大を密閉して: 便の検査を指定された場合は、表面のきれいな部分を少量とり、乾かないように密閉するのが一般的です。渡された容器があればそれを使ってください
- 無理に採ろうとしない: 嫌がる子を押さえつけて採ろうとすると、トイレそのものを嫌がるようになることがあります。どうしても採れない場合は、病院で採取してもらえるか相談しましょう
比較表:何から用意するか
| 犬の採尿グッズ | 猫の採尿グッズ | 自宅での尿チェック用品 | |
|---|---|---|---|
| 役割 | おしっこの最中に受けて採る | トイレにたまった尿を採る | 日々の様子の目安にする |
| 使う場面 | 健康診断・通院の前 | 健康診断・通院の前 | 健康診断の合間 |
| 準備の手間 | タイミングを合わせる練習が必要 | 砂の入れ替えが必要 | 説明書どおりに判定する |
| 向いていない・慎重に検討したい場合 | 近づくと排泄をやめてしまう子 | 砂の変化でトイレを我慢しやすい子 | 結果を見て受診を先延ばししてしまいそうな場合 |
健康診断が決まっているなら、まずは犬・猫それぞれの採尿グッズを用意し、病院の指示どおりに採れるようにしておくのが優先です。尿チェック用品は、そのうえで日々の様子を気にかけたい場合の補助として考えるとよいでしょう。
こんな場合は動物病院へ相談を
- おしっこの量や回数が、急に増えた・減った
- トイレに何度も行くのに、少ししか出ない、または出ていない
- おしっこの色が赤っぽい、濁っている、いつもと違うにおいがする
- 水を飲む量が明らかに増えた
- 排尿のときに痛そうにする、鳴く
- 自宅でのチェックで、いつもと違う結果が続く
特に、猫が何度もトイレに行くのにおしっこが出ていない様子は、早めの受診がすすめられることが多い状態とされています。気になる変化があれば、採尿のタイミングを待たずに動物病院に相談してください。検査の結果の読み方や、必要な検査の内容は、その子の年齢や持病によって変わるため、最終的な判断はかかりつけの獣医師に委ねましょう。
まとめ
シニア期の健康診断や通院で尿を持っていくことになったら、犬は柄付きの採尿トレー、猫は尿を吸わない検査用の砂を用意し、病院の指示どおりに採って早めに届ける、という流れで考えると準備しやすくなります。健康診断の合間には、尿チェック用品を「いつもと違うかどうか」の目安として使い、気になる変化があれば動物病院につなげていくことが大切です。
日々の体温や体調の記録のつけ方については、老犬・老猫の体調管理|非接触体温計と健康記録ノートの選び方もあわせてご覧ください。